聴く読書に興味を持ち始めた時、最も手軽に楽しむ方法は青空文庫の作品を朗読を聴くことです。
青空文庫とは著作権の消滅した作品が中心であり、教科書で習ったような有名な作品がたくさん並びます。
青空文庫を読み上げる「青空朗読」というサービスがあり、青空朗読ならば無料で聴く読書を始めることが可能です。
本記事では、おすすめの朗読作品を小説・エッセイに分けて紹介していきます。

ヨムくん
長くても10分前後で聴ける、大人も楽しめる作品ばかりを集めました。
さわれる目次
青空文庫とは
青空文庫とは、著作権の消滅した作品と「自由に読んでもらって構わない」とされた作品を集めている、インターネット上の図書館のようなものです。
著作権は作者の死後50年経てば消滅します。
国語の教科書で見かけるような日本の文豪の作品(夏目 漱石や芥川 龍之介、太宰 治など)は 著作権が消滅しています。

キクカちゃん
また、青空文庫はボランティアの方々の力なくしては成り立ちません。入力、校正、ファイル作成等はすべてボランティアの方々がされています。
青空朗読でおすすめ本を無料で楽しめる
青空文庫の作品を朗読するサービスが青空朗読です。
青空朗読はプロのアナウンサーによる社会貢献活動としてスタートしました。最近は、一般の方々の朗読作品も増えてきています。
なお、青空朗読は無料です。
朗読サービスへ登録したり、特別なアプリをダウンロードしたりすることなく、ウェブブラウザ上で朗読を聴くこととなります。
朗読におすすめの人気短編小説
おすすめの朗読小説(詩を含む)を5作品紹介します。
今回は、なじみのある作品や有名な文豪の作品を中心に選びました。
- 宮沢 賢治「雨ニモマケズ」
- 芥川 龍之介「蜘蛛の糸」
- 高村 光太郎「智恵子抄 あどけない話」
- 夏目 漱石「夢十夜 第一夜」
- グリム兄弟「おおかみと七ひきのこどもやぎ」

ヨムくん
知ってる作品から聴き始めると、聴く読書のハードルがグンと下がりますね。
宮沢 賢治「雨ニモマケズ」(2分11秒)
大正~昭和期の童話作家、詩人である宮沢賢治の詩であり、没後、発表された作品です。
作品は漢字とカタカナで表現されており、 文章で読むと、少々読みづらいと感じるかもしれません。
しかし、朗読ならば、表記に惑わされることなく、作品を味わうことができます。
また、プロのナレーターによる読み上げがテンポよく響き、朗読ならではの楽しみ方ができそうです。
授業で、「雨ニモマケズ」を暗唱した人も多いのではないでしょうか。

キクカちゃん
芥川 龍之介「蜘蛛の糸」(10分57秒)
蜘蛛の糸は、1918年に発表された芥川 龍之介初の児童文学作品です。
地獄にある「血の池」で、もがいている罪人:犍陀多(かんだた)は、お釈迦さまが垂らした蜘蛛の糸を登って地獄から抜け出そうとします。
しかし、蜘蛛の糸を登る途中、自分以外にも罪人が蜘蛛の糸を辿って地獄から脱出しようと試みているところを見た犍陀多は「こら、罪人ども。この蜘蛛の糸はおれのものだぞ。下りろ。下りろ」と大声で叫び、お釈迦様を幻滅させ、糸を切れてしまうお話です。

ヨムくん
起承転結がわかりやすく、聴きながらでも理解しやすい話です。
高村 光太郎「智恵子抄 あどけない話」(1分22秒)
智恵子抄は、高村 光太郎が妻の智恵子への愛を綴った詩集で、智恵子の没後に発表されました。
智恵子と結婚する以前(1911年)から智恵子の死後(1941年)の30年間にわたって書かれた、智恵子に関する詩29篇、短歌6首、3篇の散文が収録されている作品です。
青空朗読では一節ずつ収録されているため、 一気に全編を読むプレッシャーを抑えて楽しむことができます。
夏目 漱石「夢十夜 第一夜」(8分12秒)
「吾輩は猫である」「ぼっちゃん」などで有名な夏目漱石の小説です。
第一夜から第十夜まであり、すべての章が「こんな夢を見た」で始まっています。
第一夜は、死ぬ間際の女に「百年待っていて下さい」と頼まれるところから 始まる最も美しくて儚い物語です。
夢十夜の朗読も一節ずつの収録だから、手軽に聴けますよ。

キクカちゃん
グリム兄弟「おおかみと七ひきのこどもやぎ」(11分59秒)
子どもの頃に聞いて、誰もが知っている グリム童話も、青空朗読に収録されています。
おおかみと七ひきのこどもやぎは、悪い狼を懲らしめるグリム童話の1つです。
子供の頃に聞いた感覚を懐かしみながらビジネスマンが聴くのも良いですし、子育て中のパパやママがお子さんに聴かせるのもオススメします。
朗読におすすめのエッセイ作品
おすすめの朗読エッセイを5作品紹介します。
今回は小説や詩・俳句などで有名な文豪のエッセイを集めました。
- 太宰 治「食通」
- 寺田 寅彦「さるかに合戦と桃太郎」
- 芥川 龍之介「食物として」
- 森 鴎外「サフラン」
- 夏目 漱石「永日小品 元日」
有名な文豪たちの、小説とは違う魅力を楽しんでください。

キクカちゃん
太宰 治「食通」(2分9秒)
「走れメロス」で有名な太宰治のエッセイです。
「食通」と聞けばグルメな人のことだと思いますが、作品の中で、太宰は「食通は大食なことだ」と言っています。
安くておいしいものを、たくさん食べられたら、これに越した事はないじゃないか。当り前の話だ。すなわち食通の奥義である。
太宰 治「食通」

ヨムくん
小説とは一味違った太宰のおもしろさを聴いて、楽しんでください。
寺田 寅彦「さるかに合戦と桃太郎」(11分39秒)
明治から昭和初期にかけて活躍した物理学者、随筆家、俳人である寺田寅彦のエッセイです。
ある地方の小学校の先生が、独自の解釈をつけたおとぎ話を児童に教授したことを新聞で知ったことをきっかけに、おとぎ話の解釈や考え方について思うところを綴っています。
芥川 龍之介「食物として」(1分47秒)
芥川 龍之介が知人を食物に見立てて、書いたエッセイが「食物として」です。
北原白秋や室生犀星など文豪をつかまえて「白やきにするのに適している」「干物にして食ふより仕方がない」と表現するあたりは、芥川独特のユーモアとセンスが光っています。
プロの読み上げで芥川なユニークなセンスを聴くと、思わずクスリとしてしまいます。

キクカちゃん
森 鴎外「サフラン」(9分22秒)
森 鴎外と言えば、「高瀬舟」や「舞姫」が有名ですが、エッセイも書いています。
名前だけは知っていたけれど、実際、手に取ったり、目にしたりしたことがなかったサフランを育てることになった鴎外のエッセイです。
やや難しいかもしれませんが、プロの朗読で聴く鴎外は目で読む鴎外とは雰囲気が違うものを楽しめるでしょう。

ヨムくん
教科書でしか鴎外を知らない人にこそ聴いてほしい作品です。
夏目 漱石「永日小品 元日」(6分54秒)
「永日小品」(えいじつしょうひん)は夏目漱石のエッセイです。
中でも「元日」は、正岡子規や出入りの人々と過ごす正月の様子が書かれています。
華やかな正月の様子の間に夏目漱石特有の感性が垣間見える作品で、他作品との関連性も考えながら聴くとより一層楽しめるはずです。
朗読におすすめの短編小説・エッセイまとめ
大人が楽しめるおすすめの朗読作品をご紹介しました。
今回ご紹介した作品は10分前後で聴けるものがほとんどで、聴く読書に馴染みのない方でも気軽に聴くことができます。
青空朗読は無料で「聴く読書」が楽しめるものなので、ぜひ一度聴いてみてください。